「クリスマス・イヴ」

「クリスマス・イヴ」

昔、ある所にクリと言う子がいました。
クリは真面目で素直な元気のいい子でした。



クリは、一生懸命勉強して、政治家になろうと思っていました。
たくさんの人たちが幸せに暮せるように国を治めたかったのです。

クリは、いい成績をずっと続けていました。
成績の良くない友達にも、勉強を教えていました。

でも、クリの家は、貧しく、暖房を入れるお金も無かったのです。
クリのお父さんとお母さんは一生懸命仕事をしていたのですが、貧しさから抜け出せないのでした。

クリは、悲しかったのですが、お父さんお母さんの事を思って、黙って耐えていました。
お父さんお母さんは、クリの優しさをいやと言うほど感じていましたが、何も出来ないのでした。

クリは、祈りました。
「神様、お父さんお母さんが、ちょっとでも、休めるように、して上げて下さい。
 お父さんお母さんは、休むことさえ出来ないで、一生懸命仕事をしています。
 僕は、何もいりません、せめて、お父さんお母さんにお休みを…」

同じころ、お父さんお母さんも祈っていました。
「神様、せめて、クリが、寒く無いように暖房をお与え下さい」、と。


細かい雪が降ってきました。 ホワイトクリスマス…。

お父さんお母さんは、つらい仕事をしていました。
クリは、部屋で震えながら、泣きながら祈っていました。

急に、涙が硬くなっていました。

クリは、その涙を掴みました。 なんと、それは、輝くダイヤになっていたのでした。

「あぁ、神様。これで、お父さんお母さんもゆっくり休める!」
嬉しさにクリは、さらに涙しました。
ダイヤが床にこぼれます…。


お父さんお母さんが、やっと仕事を終えて帰って来ました。
お父さんお母さんは、床にうずくまったクリを見つけました。

そして、クリの周りに転がっているダイヤを…。

クリは微笑んで眠っていました。 お父さんお母さんは、クリを抱き上げました。

でも、クリの体は冷たくなっていました。

お父さんお母さんは、大声で泣きました。
「クリ〜!  すまねぇ〜! おまえにこげんな苦労をさせて…」

クリスマス・イヴの夜はふけて、雪だけが、音も無く降っていました…。



お父さんお母さんに抱かれて、クリの体がだんだんと温まって来ました。
「あっ、お父さんお母さん!」クリが叫びました。

お父さんお母さんも叫びました。「クリ、大丈夫か?」

クリは、言いました。
「お父さんお母さん、これ、ダイヤだよね。これで、お父さんお母さんもちょっとは休めるよ」
「ありがとな、クリ。お前は優しいいい子だ」

三人は、抱き合って、喜び合いました。
「神様ありがとうございます。家庭が一番暖かい…」三人は、そう感じ合っていました…。

クリスマス・イヴは、更けていきました…。

<< BACK



----------------------------------------------ここから下は広告です---------------------------------------------
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送