「海水浴」

 暑い夏の日が続いていました。

 やんちゃ坊主のさとる君は、お父さんお母さんと海水浴に来ていました。
 さとる君は元気に海に入って泳いでいました。

 お父さんお母さんが言いました。
「さとる君、ちょっと砂浜で休もうよ」
「僕はまだ泳いでいるよ。
 お父さんお母さんは休んでいいよ」

「そう、じゃあんまり深い所に行っちゃ駄目よ」
「うん」
 さとる君は元気に答えました。

 お父さんお母さんが砂浜に戻って行きました。
 さとる君は、その場所で泳いでいました。

 しばらくして、さとる君がちょっと疲れて足を付こうとしました。
 ところが、足が付きません。

 ふと砂浜を見ました。
 なんと砂浜がはるか遠くに見えるのでした。
「えっ?!」

 さとる君は、びっくりして、あせりました。
 お父さんお母さんも気が付かないようでした。

 さとる君は必死に泳ぎました。
 ところが、泳げば泳ぐほど、砂浜が遠くになるのでした。

 さとる君は、もう疲れて手も足も動かなくなってきました。
「お父さん〜! お母さん〜!」
 さとる君は叫びました。

「もう、いたずらはしないよ〜!
 だから、助けて〜!!」






「わっ〜!」
 さとる君が大きな叫び声を上げて、気が付きました。

 お父さんお母さんがさとる君を見つめて微笑みました。
「お父さんお母さん!」
 さとる君は、思わずお父さんお母さんに抱きつきました。

「さとる君、こわい夢を見ていたんだね」
「えっ?」
「だいぶうなされていたわよ」
「そうか?
 夢だったんだ…。
 良かった。
 お父さんお母さん、僕はいつも良い子でいるからね」





 こうして3人の海水浴は終わりました。
 それから、さとる君はいたずらをしない良い子で暮らしました。


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