「あたしの勝ち!」

「ちょっとこれ直して!」
 僕が言った。

 それはワープロの文章で「私にに下さり…」と「に」が二度使われている間違いだった。

「はい、分かりました」
 彼女はそう言った。

 それから彼女から直したともなんとも言って来ない。 僕は直っているか確認をした。 案の定それは直っていなかった。 僕は何か言おうと思ったが、やめておいた。 そんなことを言っている間に自分で間違っている箇所を彼女に示した方が早いから…。

「はい、ここですよ。 今度はちゃんと直してね」
 僕は出来るだけ笑いながら言った。
 もちろん腹は立っていたが今更言っても始まらない…。

「あたしの勝ち!」
 廊下で彼女の声がした。

「まぁ、こんなもんだ」

 これを世の中が潤滑に進むための諦めと言う…(ほんとかよ!)

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