「Blind world〜終わることのない悲しみ」

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第十三話 沖田〜『Type.M』

 沖田は、この一連の事件のことを考えていた。『Type.M』この麻薬が絡んだ事件は、不思議な点が多かった。まず、客が皆高校生であること。次に、信じられないような値段で取引されていること。要は、高校生でも十分に手の届く額であるということ。そして、その効果は大して強くはないこと。そしてもう1つ、この売人は一旦警察と接触した者の前には現れないことである。まだある。この売人は、一定していない。ある高校生の話では、一度として同じ売人にあったことがないという。しかも、何人かの売人と思われる人物を取り調べたが、ことごとく、完全なアリバイがあった。そして、彼らには何の繋がりもなかった。唯一、共通点があるとすれば、この『Type.M』について、まったくの無知であると言うことだけである。沖田は、この矛盾とも言える現象に頭を抱えていた。(奥山さんは、あの時何かを掴んでいた。・・何を掴んでいたんだろう。)沖田は、当時、奥山が誰かを追っていたことには気付いていた。しかし、それが誰だったのかはわからない。沖田が出張中、奥山は失踪した。そして、一ヵ月後に変死体で見つかったのだ。沖田は、奥山と一緒に仕事をしていた時の事を、思い出せる限り思い返してみた。(奥山さんは、俺に何かを残してくれたはずだ。・・・解らない。)沖田は、苛立ちすら感じていた。
 「沖田!」
 広田が沖田を呼ぶ。
 「また、中毒患者が出た。いつもの病院だ。早速聞き込みに行ってくれ」
 「分かりました」
 沖田は、力なく返事をすると、ゆっくりオフィスを出る。広田は、そんな沖田をただ見つめていた。

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